誘導質問技術(Elicitation Techniques)

注意事項

はじめに

この記事では、誘導質問(Elicitation)の基礎と技術を紹介します。技術と脅威を知ることで、誘導質問に気付き、回避することができます。

誘導質問は、こっそりと情報を収集するための技術です。特定の情報を狙っていることを相手に気付かせず、簡単には入手できない情報を収集するために行う会話技術です。この技術は、威嚇的ではなく、簡単に偽装したり(攻撃したことを)否定できる効果的な手法です。この手法は通常の会話だけでなく、電話経由であったり、あるいは手紙などでも応用可能です。

熟練した攻撃者が実行すれば、誘導質問は、普段の会話や業務上のただの会話のように見えます。攻撃対象者は、自分がターゲットになっていること、もしくは自分が価値のある情報を提供したことにまったく気付かないでしょう。

多くの産業スパイや海外の諜報機関に所属する担当者は誘導質問技術の訓練を受けています。彼らの仕事は、非公開情報を入手することです。商売敵はあなたの会社と競争で勝つために情報を欲しがりますし、海外諜報機関の担当者は米国の国防技術に関する情報を欲しがるでしょう。

誘導質問の定義

(尋問されているような)不快感を与えることなく、情報を引き出すための会話の戦略的活用

誘導質問は、シンプルかつ露骨に実施されることもあります。露骨に行われた誘導質問は簡単に気付き、回避することもできてしまいます。その一方、創造的な方法で、継続的かつ壮大な計画の下に行われ、時には仲間も雇って行われるような場合もあります。誘導質問を行う際には、会話内容と特定の質問をコントロールするため、偽の経歴を使うこともあります。

誘導質問者は、将来の攻撃に備えて、あなたやあなたの同僚の情報を集めることもあります。誘導質問は、情報交換の場、カンファレンス、電話、街中、インターネット、誰かの家などありとあらゆるところで実施される可能性があります。

あなたも誘導質問を受ける可能性がある

対象人物に意図を知られず、情報を取得することは珍しいことではありません。あなただって、誰かのためにサプライズパーティを開こうとして、本人に気付かれることなく、スケジュール、欲しいもの、食事の好み、もしくは他の情報を集めたことはあるでしょう?

但し、このことは、経験豊富な誘導質問者が(あなたが共有しようとは考えてない)価値がある情報を狙った場合にこのことは問題になります。なぜなら、あなたが誘導質問であることを理解し、質問を避けることが難しいからです。

なぜ誘導質問は有効なのか?

訓練された誘導質問者は、人間の性質や文化の特徴を理解しており、それを悪用する技術を持ち合わせています。誘導質問者が利用するであろう特徴は以下のとおりです。

例えば、あなたが公共の場で誰か(攻撃者)に会った際、自然な会話の中で「相手を知る」ような質問が仕事に関連する内容だったとします。所属している会社のことには一切触れていません。彼(攻撃者)は仕事の満足度について聞いてました。もしかたら、あなたは仕事に関する不満をこぼしたかも知れません。但し、その時あなたは「この人は私がどこで働いているか、何をしているか知らないし、ただちょっとした会話をしているだけだ。この質問に答えても害はないだろう」と考えたことでしょう。

しかしながら、攻撃者はあなたが何を本当は知ることができてしまうかも知れません。彼は、他人という立場、あなたが正直かつ博識のある人だと思われたいという性質、「情報を悪用される」とは疑わない人間の自然な特徴をうまく活用しているのです。この自然な会話だけで、不満のある社員を見つけだし、インサイダー情報の提供候補者を見定めることができてしまうかも知れません。

技術

誘導質問術には多数の技術が存在し、実際には複数の技術を組み合わせて利用します。以下にその技術の一部を記載します。

誘導質問を避けるためには

どんな情報が共有すべきではないか理解し、そのような情報を収集している人を疑うことが重要です。その情報を知るべき立場でない人には、いかなる情報を伝えてもいけません。また、守るべき情報はあなた自身、家族、同僚に関する情報までもが含まれます。

以下の方法を使うことにより、丁寧か形で誘導質問を回避することができます。

もし誰かがあなたか情報を引き出そうとしているとわかったら、特に仕事に関連する場合、セキュリティ担当者に報告すべきです。